IDKオリジナル連載 SCS評価制度 連載記事|第10回
サプライチェーン・セキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)
「セキュ活」実証事業が8月スタート。サービス事業者も中小企業も、6月の申込開始前に準備を
[2026.06.30]
| 【速報】2026年5月15日、サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)の実証事業スケジュールが更新されました。 実証事業への参加申込は2026年6月頃から受付開始予定、実証本体は8月頃スタートです。 今回は「サービス提供事業者として参加する場合」と「中小企業として参加する場合」の両視点で詳しく解説します。 |
1.お助け隊サービス(新類型)とは何か──旧来型との違い
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、経産省とIPAが認定した民間事業者が中小企業に対してセキュリティ対策をワンパッケージで提供する制度です。
以前から「1類・2類」として運用されてきましたが、今回創設される「新類型」はSCS評価制度と連動した全く新しいサービスです。
| 既存のお助け隊(1類・2類) | 新類型(新設) | |
| 目的 | 中小企業の基礎的セキュリティ対策 | SCS★3・★4取得を含むサプライチェーン対策 |
| 主なサービス | 24時間監視・緊急駆け付け・保険等 | アセスメント・対策支援・★取得支援・監視 |
| ★取得支援 | なし | ★3・★4取得までワンストップで支援 |
| 専門家関与 | サービス事業者の担当者 | 登録セキスペ等のセキュリティ専門家が関与 |
| 料金 | 月額数千円~(既存) | 実証中は国の支援あり。正式料金は実証後に策定 |
| 制度認定 | IPA認定制度あり | 実証後にIPA認定制度として整備予定 |
既存のお助け隊が「24時間監視と緊急対応」に主眼を置いていたのに対し、新類型は「SCS★3を取得するために何が足りないかを診断し、足りない部分を埋めるまで伴走する」というコンセプトが核心です。
2.実証事業の全体像と最新スケジュール
実証事業は「正式なお助け隊サービス(新類型)を制度として整備するための検証プロセス」です。経産省が直接実施するのではなく、IPAが認定したサービス提供事業者が中小企業にサービスを試行提供し、その結果をもとに品質・価格要件を国が策定します。
| 時期 | 動き | ポイント |
| 2026年6月頃 | サービス事業者の参加申込受付開始(経産省HP) | 販売店・ITベンダーが申込可能 |
| 2026年8月頃 | 実証事業開始(サービス提供開始) | 中小企業への試行サービス提供スタート |
| ~2027年9月頃 | 実証期間(約1年間) | サービス品質・価格要件を検証 |
| 実証終了後 | 品質・価格要件策定・正式サービス開始 | IPAによる認定制度として展開 |
「2026年春頃から」という従来の表現が「6月申込・8月開始」と具体化されました。時間は限られています。特にサービス提供事業者として参加を検討している場合は、申込受付開始までにサービス内容の準備を整えておく必要があります。
3.サービス提供事業者の視点──参加の意義と求められること
①なぜ販売店・ITベンダーが参加すべきか
今回の実証事業は、将来的なお助け隊サービス(新類型)の「認定事業者」になるための登竜門と位置づけられます。実証に参加することで得られる先行的なメリットは大きいです。
●国(経産省・IPA)が認定した実証事業者として活動できる。顧客への信頼性・訴求力が高まる
●SCS★3・★4取得支援サービスの設計ノウハウを競合他社に先駆けて蓄積できる
●実証期間中に中小企業顧客との深い関係を構築できる
●実証終了後、正式な「お助け隊サービス(新類型)」認定事業者になれる可能性が高い
●経産省・IPAの広報活動に乗る形で認知度を高められる
②実証事業で提供が求められるサービス内容
IPAが認定する実証事業者には、以下の機能をサービスとして提供することが求められます。
| 機能 | 内容 | 難易度目安 |
| 【1】初期アセスメント | SCS★3・★4要求事項への適合状況を診断し、ギャップを可視化する | ★★★ |
| 【2】対策実装支援 | 不足項目に対してITツール導入・社内規程整備・従業員教育を支援する | ★★★ |
| 【3】セキュリティ監視 | 24時間の不正アクセス・マルウェア等の異常監視(既存お助け隊機能の継承) | ★★☆ |
| 【4】インシデント対応 | 攻撃検知時の解析・報告・初動対応支援 | ★★☆ |
| 【5】★取得支援 | 自己評価プロセスの補助・登録セキスペとの連携・IPA提出書類の支援 | ★★★ |
| 【6】継続運用支援 | 年次更新・対策の継続的改善・次年度★取得に向けたPDCAサポート | ★★☆ |
③参加要件の準備ポイント
申込受付開始(6月頃)に向けて、今から準備しておくべき項目を整理します。
●SCS★3の要求事項26件・評価基準81項目の内容を把握し、アセスメント手法を設計する
●既存のセキュリティ監視サービス(UTM・EDR等)とSCS対応を紐づけたサービスパッケージを検討する
●自社内にセキュリティ専門家(登録セキスペ等)がいるか、あるいは連携できる専門家がいるか確認する
●中小企業向けの価格帯(月額で継続利用できる水準)を試算しておく
4.中小企業(顧客)の視点──参加するメリットと参加の流れ
①実証事業に参加すると何が変わるか
「セキュリティ対策は必要とわかっているけど、何から手をつければいいかわからない」「費用をかけられない」という中小企業に対して、実証事業への参加は「国の支援のもとで、プロに伴走してもらいながら★3取得まで進める」絶好の機会です。
| 【実証事業参加で得られる主なメリット】
・SCS★3取得のための支援を実証期間中は通常より低い費用負担で受けられる見込み ・「何が足りないか」の診断(アセスメント)から「対策の実施」「★取得」まで一気通貫で支援される ・攻撃検知・インシデント体制の整備など、組織的対策の支援も受けられる ・★取得済み企業として発注元からの信頼が高まり、取引継続・新規取引につながる |
②参加を検討すべき企業はどんな会社か
以下に当てはまる企業は、特に積極的に参加を検討する価値があります。
●自動車・流通・建設・金融・IT等、セキュリティ要件が厳しい大企業とのサプライチェーンに組み込まれている
●発注元から「セキュリティ対策の証明」「SCS★3取得」を求められる、または今後求められると予想される
●社内にセキュリティ担当者がおらず、「何から始めればいいか」がわからない
●セキュリティ対策に費用をかけたくても、コストの妥当性がわからない
③実証事業への参加フロー(想定)
| ステップ | 内容 | 時期 |
| 【1】申込 | 経産省HPから参加企業として申込 | 2026年6月頃~受付開始 |
| 【2】マッチング | IPAがサービス提供事業者とマッチング | 申込後 |
| 【3】初期アセスメント | SCS★3要件への適合状況を診断。何が足りないか明確化 | 実証開始後 早期 |
| 【4】対策計画の合意 | ギャップ解消のスケジュール・支援内容を事業者と合意 | アセスメント後 |
| 【5】対策実装 | ツール導入・規程整備・教育等を実施。監視・相談窓口も活用 | 約1年間 |
| 【6】★3取得 | 準備完了後、自己評価・専門家確認を経てIPAに提出・登録 | 準備が整い次第 |
| 【7】実証終了後 | サービスの継続利用を検討。正式版お助け隊サービスへ移行 | 2027年9月頃~ |
5.「任意の制度」なのに、なぜ実質強制になるのか
ここで改めて整理しておきたいのが「SCS制度は任意」という公式説明と、実際の市場の動きの乖離についてです。
経産省は「本制度は任意」「特定製品の導入が必須ではない」と繰り返し強調しています。
一方で経産省の特設サイトは「SCS評価制度は発注者企業からの期待が高く、施行後は★取得を要求されることが想定される」とも明記しています。
| 【「任意」と「実質的な強制」の関係】
・制度自体は法律による義務付けではなく「任意」 ・しかし発注元企業が★取得を取引条件として要求することは「任意」の制度でも可能 ・自動車業界では自工会・部工会ガイドライン対応が事実上の取引条件として機能している実績がある ・経産省も「発注者企業からの期待が高く、施行後は★取得を要求されることが想定される」と明記 →「制度は任意」=「取得しなくていい」ではない。取引継続リスクは実在する |
顧客への説明では「法的に義務ではありませんが、取引先の大企業から★3の提示を求められるケースが増えることが予想されています。実証事業で先行して対応しておくことが、取引継続リスクの低減につながります」という伝え方が正確かつ誠実です。
6.販売店として6月までにやるべき準備
①サービス事業者として参加を検討する場合
●SCS★3の要求事項・評価基準の内容を把握する(IPAサイトのExcel一覧を入手・確認)
●自社が提供できるサービス内容(監視・アセスメント・規程支援等)を棚卸しする
●登録セキスペの確保・または連携先を探しておく(★取得支援に専門家関与が必要)
●6月の経産省HP公募開始を見逃さないよう、meti.go.jp/policy/netsecurity/otasuketai_jissho.htmlをブックマークする
②顧客(中小企業)への案内を準備する場合
●「6月から実証事業の申込が始まります。費用負担が軽い今、セキュ活を始めましょう」という案内文を用意する
●自社顧客のうち、自動車・流通・建設・金融系の取引先を持つ中小企業をリストアップし、優先的に案内する
●デジタル化・AI導入補助金(セキュリティ対策推進枠)との組み合わせ提案を準備する
| 【参考:参加申込先】 ・サービス事業者参加申込(6月頃~):https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/otasuketai_jissho.html ・中小企業参加申込(6月頃~):同上ページ内に案内予定 ・お問い合わせ:経済産業省 商務情報政策局 サイバーセキュリティ課 bzl-cyber-madoguchi@meti.go.jp |
| 石渡電気では、実証事業の申込開始情報をいち早くお届けします。 サービス提供事業者としての参加検討・顧客への案内方法など、ご相談はお気軽に石渡電気までお問い合わせください。 |
本記事は経産省お助け隊サービス(新類型)ページ(2026年5月15日スケジュール更新版)をもとに作成しています。
申込要件等の詳細は経産省HPにて最新情報をご確認ください。
石渡電気が一緒に準備します
石渡電気では、販売店様がSCS評価制度に関する顧客対応力を早期に身につけられるよう、制度情報の提供・勉強会・製品提案サポートを継続的に行っていきます。
制度は動き始めています。「顧客から聞かれてから考える」では遅いかもしれません。今この時期に情報を蓄え、提案の準備を整えた販売店が、これからの競争で先行優位を得ることになります。
ご不明な点・ご相談は石渡電気までお気軽にお問い合わせください。















