IDKオリジナル連載 SCS評価制度 連載記事|第15回
サプライチェーン・セキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)
評価機関・技術検証事業者・研修事業者の第1回公募が始動。9月14日に説明会、12月に指定へ──指定委員会の議論から読む「求められる事業者像」
[2026.09.07]
| 【速報】8月20日の第2回指定委員会での決議を受け、IPAは2026年9月14日(月)に評価機関・技術検証事業者・研修事業者向けのオンライン説明会を開催します(申込期限:9月9日)。 第1回公募の申請受付は9月中旬~10月下旬、12月上旬の指定委員会で審議し、12月下旬に指定結果が公表される予定です。 ★4の第三者評価を担う「評価機関」、技術検証を担う「技術検証事業者」、専門家を育てる「研修事業者」──制度を動かすプレーヤーが年内に出揃います。指定委員会の議事要旨から、どんな事業者が求められているのかを読み解きます。 |
1.9月14日 オンライン説明会の概要
説明会は午前・午後の2部構成で、対象事業者ごとに分かれています。内容はいずれも「指定に係る制度規程の説明」と「第1回公募に関する説明」です。参加費は無料、当日参加できない事業者向けに録画のアーカイブ配信も予定されています。
| 区分 | 日時 | 対象 |
| 午前の部 | 2026年9月14日(月)10:30~12:00 | 評価機関・技術検証事業者として申請を検討している事業者 |
| 午後の部 | 2026年9月14日(月)13:30~14:30 | 研修事業者として申請を検討している事業者 |
| 【申込方法】 ・申込先:isec-scs-shitei@ipa.go.jp(メール) ・件名:「【参加申込】評価機関、技術検証事業者、研修事業者向け説明会」 ・本文:所属組織名、電話番号、参加者氏名、参加希望区分(午前/午後) ・同一組織から複数名が参加する場合は、代表者が全員分をまとめて申込 ・申込期限:2026年9月9日(水) |
2.第1回公募のスケジュール──年内に「制度を動かす事業者」が決まる
第2回指定委員会の配付資料には、第1回公募の全体スケジュールが示されています。説明会から指定結果の公表まで約3か月半という、かなり速いペースです。
| 時期 | 動き |
| 2026年9月14日 | 公募説明会(オンライン、後日アーカイブ配信) |
| 2026年9月中旬~10月下旬 | 申請受付期間 |
| 受付後~11月 | IPA(制度運営機関)による審査。不明点はメール・オンライン会議で確認 |
| 2026年12月上旬 | 指定委員会で指定の可否を審議・決定 |
| 2026年12月下旬 | 指定結果の公表。評価機関は「12月末頃より公表予定」 |
| 2027年1月頃 | SCSセキュリティ専門家の公表開始(予定) |
指定委員会では「第2回以降の公募時期をあらかじめ明示すべき」との意見も出ており、第1回に間に合わない事業者にも次の機会が示される見通しです。ただし、運用開始時点で評価・研修を担えるのは第1回で指定された事業者であり、「最初のプレーヤー」になれるかどうかは市場での先行優位に直結します。
3.3つのプレーヤーの役割と、指定の共通ルール
8月28日に公開された指定規則(評価機関指定規則・技術検証事業者指定規則・研修事業者指定規則)から、3つの事業者の役割と、指定に共通するルールを整理します。
| 事業者 | 制度上の役割 | 想定される法人像 |
| 評価機関 | ★4の第三者評価(文書確認・実地審査)を実施し、評価報告書を作成する | 認証・審査業務の実績があり、独立性・公平性を担保できる法人 |
| 技術検証事業者 | ★4の技術検証(脆弱性診断等)を実施する。規則上「情報セキュリティ関連業務を行っている法人」が対象 | セキュリティ診断・ペネトレーションテストの実績がある法人 |
| 研修事業者 | SCSセキュリティ専門家(★3確認責任者・★4評価責任者等)を育成する研修を実施する | セキュリティ教育・資格研修の実績がある法人 |
| ステップ | 内容 |
| 指定要件 | 日本の法律に基づいて設立された法人で、当該業務を的確に実施する能力があると認められること |
| 欠格事由 | 申請前3か月以内の指定否定、3年以内の指定取消し、役員に拘禁刑以上の刑(執行終了から5年未満)・暴力団構成員がいる場合 |
| 申請料・指定料 | 申請時に申請料(返還不可)、指定決定後に指定料を納付。申請料が請求から1か月納付されない場合は審査中止 |
| 審査の打ち切り | 虚偽申請、不適合指摘が原則1か月以内に是正されない場合など |
| 指定の有効期間 | 通知日から3年間。更新は満了の3か月前までに申請。更新審査中は旧指定の効力が継続 |
| サーベイランス | 定期(抽出調査)と臨時(外部通報等に基づく)の2種類。改善の勧告・要請あり |
| 指定の取消し | 虚偽、調査非協力、改善要請への不服従、基準不適合、信頼喪失、指定料未納など(弁明の機会あり) |
| 異議の申出 | 指定否定・更新否定・取消し・勧告に対して制度運営機関の窓口に申出可能 |
| 公表 | 指定機関台帳をIPAホームページ等で公表。失効・取消しも記載 |
申請料・指定料の具体的な金額は、8月31日時点で公表されていません。指定委員会では料金設定について「合理的な費用が提示されるよう配慮」を求める意見が出ており、説明会で案内される見込みです。
4.指定委員会の議論から読む「求められる事業者像」
7月27日の第1回、8月20日の第2回指定委員会では、指定基準・手順・申請様式について委員から多くの指摘がありました。議事要旨に記された論点は、そのまま「IPAがどんな事業者を指定したいか」を示しています。
| 論点 | 委員会の方向性 | 申請を検討する事業者への示唆 |
| 利益相反の判断基準 | 資本関係・財務的利害・役務提供の観点で整理。「報酬を伴う役務提供(構築支援等)」も財務的利害に含めることを明示 | 評価・検証を行う相手先に対して、有償の構築支援やIT運用をしていないことを説明できる体制が必要 |
| 指定後の利益相反の監視 | 指定後に利益相反が生じた場合に発見するプロセスと定期確認の仕組みを整備 | 一度指定されて終わりではなく、継続的に独立性を証明する運用が求められる |
| 公平性の記載 | 第2回でも「抽象的で解釈が必要」との指摘。公平性の要件を具体化 | 自社の公平性確保の仕組み(審査員の割当ルール等)を文書化しておく |
| 研修の設計 | IPAが「育成すべき人材の大方針」と「シラバスの骨格」を示す。修了試験はIPAが問題を作成し、研修事業者が実施 | 研修事業者は独自カリキュラムではなく、IPAの骨格に沿った研修運営力が問われる |
| 講師の要件 | 講師の資格保有は「努力義務」として説明会で案内予定 | 登録セキスペ等の有資格講師を確保できれば優位 |
| 研修の有効期限 | 3年ごとの更新が適切 | 専門家は3年ごとに研修更新が必要。継続教育の需要が生まれる |
| 個人情報の保管 | 3年以上の保管に関する詳細規定を明記 | 受講者・評価先の情報管理体制が審査対象になる |
| 初回研修の開始時期 | 研修事業者の指定が12月下旬のため、初回研修は要員が揃った時点で実施することを明記 | 研修事業者に指定されても即座に開講できるとは限らない。専門家の輩出は2027年に入ってから |
全体を通じて委員会が最も重視しているのは「利益相反の排除」と「公平性の担保」です。制度の信頼性は評価機関・専門家の独立性に依存するため、この点が甘い事業者は指定されにくいと考えておくべきです。
5.販売店・ITベンダーはどう関わるか
販売店にとって、今回の公募への関わり方は大きく3つに分かれます。
①選択肢A:技術検証事業者として申請する
脆弱性診断やペネトレーションテストを自社で提供している事業者であれば、技術検証事業者は現実的な選択肢です。規則上の対象は「情報セキュリティ関連業務を行っている法人」であり、評価機関ほど独立性のハードルは高くない構造です。ただし、自社が構築支援をしている顧客の技術検証は利益相反の対象となるため、検証先と支援先を分ける運用が前提になります。
セキュリティ教育や資格研修を事業として行っている場合は、研修事業者の申請が視野に入ります。カリキュラムはIPAが骨格を示し、修了試験問題もIPAが作成するため、求められるのは「研修を公平に運営し、受講者情報を適切に管理する力」です。専門家は3年ごとに更新研修を受ける必要があるため、継続的な需要が見込めます。
③選択肢C:申請せず「支援側」に徹する
多くの販売店にとって現実的なのはこの選択肢です。第14回で解説したとおり、基本規程は「支援」と「評価」の分離を前提としています。お助け隊サービス(新類型)や★取得支援サービスで「支援側」の役割を固め、評価は独立した評価機関・専門家に委ねる形が、制度の設計思想に最も合致します。
この場合も、自社の技術者をSCSセキュリティ専門家として登録させることは検討に値します。研修は2027年に入ってからの開始が見込まれますが、専門家の確保は★3確認業務の受け皿にもなります。
| 【お客様(中小企業)への案内のポイント】 ・評価機関の公表は12月末頃。★4を目指すお客様は、年明けから評価機関の選定・見積依頼を始められる ・SCSセキュリティ専門家の公表は2027年1月頃。★3の専門家確認は、それ以降に依頼先が具体化する ・いずれも運用開始は2026年度末頃の予定。10月公開予定の自己評価等ガイドをもとに、自己評価の準備を先行させておくのが現実 |
6.いまやるべきこと
①申請を検討する場合
●9月9日(水)までに説明会に申し込む(isec-scs-shitei@ipa.go.jp)。当日参加できない場合もアーカイブ配信を視聴する
●該当する指定規則(SCS-210/220/230)と基本規程(SCS-100)を読み、欠格事由・有効期間・サーベイランスの内容を把握する
●自社の顧客との関係を「資本関係・財務的利害・役務提供」の観点で棚卸しし、利益相反となる相手先を整理する
●公平性確保の仕組み(審査員・検証者の割当ルール、情報管理体制)を文書化しておく
●申請受付は9月中旬~10月下旬。申請書類の詳細は説明会で案内されるため、説明会直後に準備を開始できる体制を整える②申請しない場合
●評価機関・専門家の公表時期(12月末・2027年1月頃)をお客様に案内し、★取得の逆算スケジュールを一緒に描く
●自社技術者のSCSセキュリティ専門家登録を検討し、研修開始の情報を追う
●「支援側」としてのサービスメニュー(診断・ツール導入・規程整備・教育)を、10月のガイド公開に合わせて整える
| 【関連リンク】 ・説明会案内ページ: https://www.ipa.go.jp/security/scs/security-experts-organization/setsumeikai.html ・SCSセキュリティ専門家・評価機関: https://www.ipa.go.jp/security/scs/security-experts-organization.html ・制度規程・委員会(指定規則、指定委員会の配付資料・議事要旨): https://www.ipa.go.jp/security/scs/regulation-advisory-committeess.html ・説明会申込先:isec-scs-shitei@ipa.go.jp(申込期限 2026年9月9日) |
| 石渡電気では、公募の申請要件や説明会の内容を随時お届けします。 技術検証事業者・研修事業者としての申請検討、支援側としてのサービス設計など、お気軽にご相談ください。 |
本記事はIPA「評価機関、技術検証事業者、研修事業者向け説明会」ページ(2026年8月28日公開)、第1回・第2回指定委員会の配付資料および議事要旨、評価機関・技術検証事業者・研修事業者指定規則、IPA SCS評価制度メールニュース第2号をもとに、2026年8月31日時点の情報で作成しています。
申請料・指定料、申請書類等の詳細は説明会およびIPAサイトの最新情報をご確認ください。
石渡電気が一緒に準備します
石渡電気では、販売店様がSCS評価制度に関する顧客対応力を早期に身につけられるよう、制度情報の提供・勉強会・製品提案サポートを継続的に行っていきます。
制度は動き始めています。「顧客から聞かれてから考える」では遅いかもしれません。今この時期に情報を蓄え、提案の準備を整えた販売店が、これからの競争で先行優位を得ることになります。
ご不明な点・ご相談は石渡電気までお気軽にお問い合わせください。
















